私達の監獄へ【奈良少年刑務所のお話。】
お待たせ致しました。奈良少年刑務所です。
前回の記事で申し上げました通り、今回ツアー後に奈良少年刑務所を宝に思う会に参加させていただきました。
寮美千子さんという方をご存じでしょうか?
空が青いから白をえらんだのですという受刑者の詩集があります。
今回私が奈良少年刑務所の見学させていただきたのは2回目でした。最初に来たときにも受刑者が近くを通ったり作業をしている姿を見学させていただきました。
今回もそうです。ですが、ここで一つ違うのはこちらの詩集を読んでいるかないかです。
受刑者と聞くと、悪い事をした人達。そのイメージが私には強くありました。
確かに悪い事をした人達です。でも、実際にすれ違ったり作業をしている姿を見ていると本当にこの人たちが?と思ってしまいます。詩を読むとより一層、その気持ちが高まります。
受刑者の背景には、家庭や環境に色々あります。それは人それぞれですが、私達も受刑者だった可能性が無いわけではありません。
詩はとても純粋でした。どこか、共感できるような言葉が沢山並べられています。
受刑者が社会復帰した時、迎えられるような人間になりたいと思いました。
一度、読んで頂きたい本の一つです。
さて、その少年刑務所ですが廃庁が決まりました。
では、今後この美しいレンガ作りの建物の利用をどうしましょうか・・・?
話し合おうではないか!!
壁に映し出されたのは、空撮写真。
簡単に説明すると右側に、奈良少年刑務所。左に大きな道を挟んで奈良ドリームランド。
おぉ!ドリームランド!と私の中で違う方向に行きそうもしっかりと奈良少年刑務所に集中。
前回のツアー時にも書いたと思いますが、設計者は山下啓次郎氏。明治34年不平等改正後、監獄の全国的再編成とし建てられた5大監獄の一つです。
はい、では5大監獄言ってみよう!!
千葉!長崎!鹿児島!金沢!奈良!
と前回もこんな雰囲気で書いた気がします。
奈良少年刑務所には大きな問題点があります。
耐震性と施設機能の不全です。108年も現役を続けれいたら、問題ない方がおかしいですよね。
レンガ作りである少年刑務所は老朽しており、天災事変の時刑務所として機能を維持できないと言う事です。レンガの耐震は予測が難しいと聞いた事があります。確かに積んているわけですから、他の建築物よりは危険ですね。
そして、私は聞いた話で一番の問題は居室に冷暖房設備がないと言う事です。
案内された、講堂でも冷暖房設備は無くあるのはレストラン等で見かける扇風機のような羽が回っているだけでした。確かに私達ツアーの人数なら講堂はそこまで熱することはありませんしほんの数時間の話です。ですが、働いている人間、受刑者にとっては毎日24時間生活があるのです。
仕事の後は、風呂で汗を流しクーラーの効いた部屋で過ごしたいです。
夜は冷え込んだら寒くて、眠る事も大変なのが私です。
現在、ニュースで大きく注目を浴びており監獄ホテルの話が出ていますね。
まだ、決まったわけではありませんけどね。
文化財指定の方針ですが耐震にも数十億円かかり何かするにもまだまだ課題がありますね。
驚いたのは、奈良少年刑務所を残してほしいという声が地域から多くあったことです。
やっぱり、刑務所って聞くと良いイメージが付き辛いですし坂を下れば住宅街が広がっています。
それでも残してほしいという声が地域からあったのはとてもいいことです。
確かに、こちらの刑務所は地域密着型という言い方はおかしいかもしれませんが、中で散髪屋さんしてますからね。
「髪切りに来ましたー。」「あ、どうぞ!」
とこんな軽い感じではなく厳しいカウントはされるでしょうけどもお値段もお手軽ですし。
中では、受刑者たちが作った商品買えましたし。(前回、小銭入れと耳かき買いました。)
話を戻しまして。では今後、奈良少年刑務所をどう活用したいですか!?
というお話です。
今回、勝手ながら私なりにプレゼンターの話をまとめさせていただきました。
あぁ、お名前等は出しませんのでご安心を!
●施設の再利用
・訓練機関としてのこしてほしい。
奈良少年刑務所では様々な資格を得る事が出来ます。先ほど言った散髪屋さんも受刑者の人達が切ってくれます。他にも、クリーニング科、電気通信設備科、介護福祉科等多くあるようです。
そういえば、建築家という場所も見学の時見かけました。
ここまで設備があるならそのまま使用する事も可能ですね。
・元受刑者の働き場
こちらも施設をそのまま使えます。作業所があるわけですから設備はばっちりです。
ハローワークや企業と連携し就職先を探すもまだまだ社会復帰への受け入れが難しいようです。
しかし、デパート等で稀に受刑者達の作品展覧会および販売を開催してますのでそれこそ色々なイベント会場等連携していけば色々な人の考えがだんだんと変わっていくかもしれませんね。
・社会に苦しむ子どもや大人達の為のワークショップ
寮美千子さんが受刑者に行った授業の様に、普段から受けられるというのはどうでしょうか。
もしかしたら、自分の気づけなかった事にも気づけるかもしれないなと思いました。
●地元の人も観光客も楽しめる施設にする。
・アート的使用
アーティストの制作過程等が見学出来たり展示会場。
アートは地域活性に多く貢献している例が多いですし制作過程が見れるなら何度も来たくなるのではないでしょうか。
・コミュニティスペースとしての利用
広い建物ですから、何かと併設するという意見がありました。
集まれる場所があるっていうのは大事ですよね。
・資料館として使用する
もっと色々な人に、奈良少年刑務所を知ってもらうには一番ですね。
奈良少年刑務所だけでなく、刑務所内ではこういう事をしていますといった説明もあれば刑務所の見方も変わりますね。もしかしたら、新発見も あるかもしれませんし。
・町歩きツアー
上記3つを含んだ、町歩きツアー。一部、奈良少年刑務所時代を残しておくという案やホテルにしても見学部分を残しておくというものでした。
そして、地域の人が案内出来るというものです。
・宿泊施設
ホテルなら高級感、ゲストハウスなら面白く!との事でした。
値段も変わってくるでしょうし、どちらがよりお客さんが集まるかですね。
奈良はホテル少ない様ですので宿泊施設が増えるのは良い事かもしれませんが難しいです。
●案をどう生かしていくか?
・外部に組織を作り連携を取りながら継続できるようにすること。
・般若寺が転害門や般若寺等も協力して奈良の良いところ・要望を合同であげてゆく
と意見があがりました。一方でこのような意見もありました。
・注意すべき点は『建物の保存と目的』
本当に、監獄ホテルするならどう建物を保存してゆくか。
そして複合型施設にした場合は本来の目的が分からなくならないようにする事です。
以上が今回目立った意見でした。
この後は懇親会で寮美千子さんのお手製料理を頂きました。
まさか、晩御飯食べれるとは思わなかったので嬉しい。
帰りは、電車組で色々とお話しを伺いながら20分程歩きました。
今回は私にとって、とても貴重な体験でありまだまだ世の中には色々あるんだなと実感した日です。
最後になりますが、ここまでお読みいただきありがとうございます。お疲れ様です。
9月10日と11日には奈良少年刑務所で矯正展がありますのでこの記事で、興味を持たれた方は是非行ってみてください。
それでは、次回もよろしくお願い致します!
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